【ドラゴン金貨を追え】第1回リプレイ記事

ーとあるレンジャーの手記

ここは大口亭。俺の住む都市ウォーターディープでも知らない人はいないであろう、とある有名な居酒屋だ。

そこでいつも通りパーティーのメンバーと前回の冒険の振り返りや次回の冒険へ向けた相談をしていたところ

「この雌豚がァッ!」

という怒号が突然響き渡る。

ここは居酒屋、それも数多くの冒険者が贔屓にしているような店である。喧嘩事は珍しい光景ではない。さて今回は何事かと騒ぎの方に目をやると、どうもハーフオークの女性1人対ヒューマンの男性4人という構図で揉めているようだ。

1対4それも女性側が1人という状況に思わないでもなかったが、そこは冒険者らしく現実的な思考でひとまずの静観を決め込んだ。パーティーメンバーのローグ女性は争いに巻き込まれないようテーブルの陰に身を潜め、もう1人のパーティーメンバーであるファイター男性も俺と同様に様子見にとどめたようである。

結果としてハーフオーク女性側がさすがに4人相手は厳しかったのか突き飛ばされてしまう。警備隊も機能しているこの都市でさすがに刃傷沙汰にはならないだろうと行く末を見守っていたところで、さらなる騒動が訪れる。

「モンスターがでたぞ!」

という誰かの声に反応し、ここ大口亭の名前の由来でもあるフロアの中央に陣取る大きな井戸を見やると、トロル1体とそれに纏わりつくスカージが数体出現せんとするところであった。とある有名な、という前置きはこのことで例の大きな井戸が謎のポータルとなっており時折こうしてモンスターが出現するのである。

居酒屋のマスターは手慣れた様子で戦闘態勢に入り、トロル対峙する。マスターは手練であり、そちらは任せても問題ないだろう。なれば我々が相手にすべきはスカージだ。

俺は使い慣れたハンドクロスボウで、パーティーメンバーもショートソードやレイピアとそれぞれの武器を持ってスカージに向かっていく。素早い動きに翻弄されつつも確実に数を減らしていき、最後のスカージにとどめをさしたあと、トロル側の援護をしようと振り向くと、丁度マスターの渾身の一撃がトロルに入りそちらも息絶えてところであった。

これら一連の騒動の後処理をしていると、不意に男性から声をかけられる。名をヴォーロというらしいその男は先程の一件から我々パーティーの腕を見込んで依頼を持ちかけてきた。

依頼内容は人探しであった。彼の友人であるフルーンという人物が行方不明となっているため捜索してほしいとのことである。報酬は前金で10[gp]、成功報酬100[gp]を出すという。冒険者としての経験はまだ浅い俺であるが、この報酬額が破格であることはわかる。そしてそのような話には裏があることも。

この条件を訝しんだ俺はこの男に【看破】を試みた。さての俺の勘は《裏はなさそうではあるものの、報酬がきちんと払えるかあやしい》と告げている。まあ、最低限の前金はもらえるようであるし、裏がないのであれば全額とは言わずともなんかしらの報酬がもらえるだろう。と踏んた俺は依頼を受けても良いという結論をだした。

パーティーメンバーとも相談し、ローグ女性は報酬に目がくらみ、ファイター男性は困っているのが事実であれば、ということで依頼を受諾した。

はてさて依頼を受けたはいいものの、手がかりはフルーンという人物名と当時の服装や人相の情報だけだ。足取りを追うべく、ヴォーロに最後に彼と会った場所はどこかと尋ねたところ、串刺しドラゴン亭という居酒屋で飲んでいたのが最後だという。

早速串刺しドラゴン亭に向かっていくのだが、妙な人だかりができている。進んでみるといくつかの死体が見える。物騒な状況であるらしい。当然都市警備隊が動いており現場の整理を行っていた。何事かと確認するとザナサーという組織とゼンタリウムという組織の抗争があったようだ。どちらも悪い方で有名な組織である。気にはなるもの請け負った人探しに関連はないだろうと現場を後にする。

さらに進んでいく道中、怪しい出で立ちの店が目に入る。気になって覗いていると店員が中からしきりに声をかけてくる。店員の手の甲には目のマークの入れ墨があった。パーティーのファイター男性は警戒心より好奇心が勝る性格らしく、その怪しい店の怪しい商品をいくつか買っていた。いつか役に立つ日がくることを祈っておこう。

ようやく目的の串刺しドラゴン亭にたどり着く。中には常連らしき客層が何グループかいた。ここでは見慣れない客である我々を警戒しているようだ。マスターに声をかけ、酒を注文しつつフルーンについて尋ねてみる。だが、マスターは何も知らないようであった。

そこで周りの常連客に尋ねて回ってみたところ、どうやらその内の1グループが心当たりのありそうな様子であった。ただし世の中お人好しばかりではない。連中曰くタダというわけにはいかないとのことであったので酒を奢ってやることにする。

酒を煽りながら連中が上機嫌で語った情報によると、たしかにここでヴォーロとフルーンが飲んでいたらしい。その後、ヴォーロが帰ったあともフルーンはここで飲み続けており、前執政官の息子であるレネーアなる人物と合流して飲み明かしていたらしい。飲み終えた2人がここを発ったあと、先ほど立ち寄った怪しい店の前で2人が黒装束のグループに襲われていたことが目撃されているとのことだ。

黒装束グループについて街で聞き込み調査を行ったところ、どうやら近所で少し噂になっているらしくその黒装束グループが出入りしているという倉庫の情報を得ることができた。

情報を得た倉庫にたどり着き身を潜めながら周囲の確認を行うが人影はなし。しかし気配を感じるため窓から中を覗いたところカラス人間(ケンクという種族だったか)が中に4体おりその周囲には黒装束の死体が転がっている。

不穏な状況ながらも倉庫の制圧を決定し、まずローグ女性が潜入を試みる。慌てている様子を見るに失敗してしまったようだ。急いで駆けつけ乱戦になってしまうも、なんとか4体のケンクを倒すことに成功した。

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